【2023年度版】経営に使える助成金紹介!両立支援等助成金②

前回は、職員に育休や介護休業を取得させた時にもらえる両立支援等助成金について説明させていただきました。
今回は、両立支援等助成金に付属する代替加算をご紹介させていただきます。

↓前回の記事と見比べながら読んでいただけるとわかりやすいので、こちらからご覧ください!

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前回の記事に引き続き、今回も経営に使える助成金を紹介していきます。両立支援等助成金育児休業/介護休業に関する助成金。こちらの助成金に関しては厚生労働省のページに…

代替加算について

両立支援等助成金の3コースには、名称はそれぞれ微妙に違いますが代替加算があります。
これは対象となる職員の穴をカバーするべく別の職員を採用した場合に支給される加算ですが、使いようによってはとてもお得に使えます。

まずは、育休取得に合わせた雇用期間の定めのある代替要員としてとしての採用であることを十分に周知した上で募集採用し、代替要員の採用により20~60万円を受給。
もし仮に採用した代替要員が優秀で増員になっても良いならば、当該職員と交渉して新たに契約を結び、復帰職員とともに働いてもらうことができます。
そうでないならば、代替要員であることを理解した上で勤務してもらっているので、任期満了により退職いただくのみです。

そもそも、取得前から1人増やして良いと思っていたポジションであった場合は、育休復帰までの期間の定めのある代替要員であることを周知せずに募集採用しても構いません。そうすれば、人の集まりが悪くなるデメリットも回避できます。

各コースで要件や支給金額が変わってくるので、以下説明させていただきます。

各コースの代替加算の概要と注意点

育児休業等支援コース

育休取得者については無理なく使えるこちらのコースですが、業務代替支援加算としてア.新規雇用、イ.手当支給等の2つが用意されています。

ア.新規雇用については、代替要員に関する要件が他2つのコースに比べ以下の点で厳しくなっております。
 ・育児休業取得者と所定労働時間が概ね同等(1日当たり1時間以内の差または週当たり1割以内の差)の職員を採用しなければならない。新規採用職員の方が長い分には問題なし。
 ・復帰した育児休業取得者について、復帰後も6か月以上継続雇用していること。(自発的退職だったとしても支給対象外になる)

要件が厳しめとはいえ、要件を満たせば支給金額は50万円、さらに育休取得者が有期雇用労働者であれば10万円加算にもなるので魅力的です。無理なく使える場合は使うべきでしょう。

イ.手当支給等についてはあまりおすすめしません。
理由として、まず支給金額が10万円(上記の有期雇用労働者加算を含めても20万円)と小さい。
次に、受給要件として「代替職員に固定額の代替手当を支給する」というのがあるのですが、これが難しい。
支給額はいくらにするのか?→例えば月5,000円以下なら忙しくなった職員の神経を逆なでするだけかもしれません。しかし、金額が大きくなるほど次の問題が重要になってきます。
誰に支給するのか?→1人が休めば、多くの人に大なり小なりしわ寄せがくるものです。忙しくなったのに支給しない人がいたり、全員金額が同じだと不公平感を生みます。
これらの問題をクリアして運用するのは難しく、とても支給金額に見合いません。代わりに、ボーナスなどで個別の頑張りに応じた還元をした方が柔軟に運用できる分よほど良いと思います。

出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース

男性の育休取得で使える出生時両立支援コースと、介護休業で使える介護離職防止支援コースにもそれぞれ代替要員を採用した時の加算が用意されています。

支給額は前者が20万円、後者が30万円と育児休業等支援コースに比べ低いですが、その分条件がゆるくなっています。
 ・休業取得者と比べて所定労働時間がの2分の1以上あればよい。
 ・休業取得者の継続雇用要件がない

代替職員の所定労働時間は2分の1以上あれば良いので、休業取得者が復帰した後の業務量を減らすためにパート職員を採用する、などの運用も考えられます。

代替要員を採用するかは、対象職員の休業取得日数であったり、貴院の人員の状況を見ながら判断することではありますが、採用するならぜひ使いましょう。

まとめ

両立支援等助成金の代替加算について解説させていただきましたが、いかがだったでしょうか。
単体で見ると支給金額はやや小ぶりですが、場合によっては無理なく使えることがお分かりいただけたかと思います。

余裕があれば、ぜひとも代替加算を利用しての人材発掘についてもご検討ください。

本記事が少しでもお役立ちいただけたのなら幸いです。

クレイド法務事務所
前田 健