兵庫の最低賃金、10月から1,001円になる見込み!注意点は?

現在の兵庫県内の最低賃金は960円ですが、10月からはそこから41円上がって1,001円になる見込みとなりました。
本決まりではないのですが、兵庫地方最低賃金審議会からの答申なのでこのままの額で採用される見通しが強く、過去最大額の最低賃金増加になると思っておいた方がよいでしょう。
本記事では、最低賃金の概要と、増加時に注意する点について解説します。

そもそも最低賃金って?簡単に解説

最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を定めた制度です。最低賃金は、「最低賃金法」という法律で決められています。

最低賃金額より低い賃金で契約した場合は無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます(例外として特定の事由のある労働者について最低賃金以下での雇用を可能とする「減額特例」の仕組みはありますが、都道府県労働局長の許可が必要とハードルが高く、全国的に許可件数は多くありません)。

使用者が最低賃金以上の賃金を支払っていなかった場合、使用者は労働者にその差額を支払う必要があるとともに、30~50万円以下の罰金に処せられることがあります。

そして、これはクリック運営においては関係ない知識ではありますが、実は最低賃金には2種類あります。都道府県ごとに定められている「地域別最低賃金」と、特定の産業ごと(自動車小売業、鉄鋼業ほか多数)に定められている「特定最低賃金」です。医療業はここに含まれていないので、地域別最低賃金のみを気にしていれば問題ありません。

参考:現行の最低賃金のポスター

最低賃金の上昇にあたって、何を注意すれば良い?

まずは、現在雇用しているスタッフの給料についてチェックしましょう。
最低時給を割りそうな職種と言えば、受付・医療事務、診療補助、リハビリ助手、歯科助手あたりでしょうか。

時給制のパートの場合は手当を除いた時間給のみを見れば良いので一瞬で判断できますが、
月給制のスタッフについては最低賃金の対象とならない手当を除いた上で、計算式を適用して時間給に割り戻さなくてはならないためなかなか面倒です。

以下の東京労働局の計算式説明が一番シンプルで分かりやすかったのでリンクを載せておきます。https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/jirei_toukei/chingin_kanairoudou/toukei/saitei_chingin/gekkyuu.html

下限ぎりぎりのところで設定しようとするならば、毎年変わる年間所定労働日数も勘案しなければならないデリケートな作業になるため、社労士等に相談した方が安心かも知れません。

他には既にある就業規則や賃金規程であったり、募集の際の求人票も再利用する場合には修正が必要なことがありますので、これらもチェックしておきましょう。

まとめ

最低賃金について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

実はここ20年ほどは毎年最低賃金が上がっており、平成元年には502円だった兵庫の最低賃金もいよいよ倍近くになろうとしています。賃上げに悩まされている経営者も多いかと思いますが、近年の極端な物価上昇を見ればある程度は仕方ないことのように思えます。

ただ、10月からは1,001円になる見込みですが、せっかくの大台なので端数の1円くらい大目に見てほしかったですね。募集をかける側の目線からするとなんともいやらしい1円です。
(あんまり言いすぎると目をつけられそうなのでこれぐらいにしておきます笑)

最低賃金に関しては、見る人が見れば確実に指摘されてしまう部分になるので、しっかりと順守していきましょう。

クレイド法務事務所 代表
前田 健