クリニック開業までのスケジュール【人事分野】

開業を準備中/検討中の先生方はクリニック開業にあたり、様々な専門家やメディアから情報を集めておられることと思います。本稿では開業にあたって人事労務分野ではどのようなスケジュールになるか、それに対して弊所がどのようにお手伝いできるのかをお伝えします。ぜひ、情報の整理のためにご一読ください。
※スケジュールは目安です。

はじめに

上記スケジュール例に沿ってご説明させていただきます。
グレー矢印については弊所以外の関係各者と行っていただく部分になります。(人事労務分野を中心とした表ですので省略しているものもあります。資金調達、保健所関係、保険医療機関申請、他)
青矢印についてはスタッフを雇用するために必要となる部分となります。なお、弊所の「開業支援パック」をご利用いただくと開業までの期間に関係なく青矢印部分すべてについて継続支援となるためおすすめいたします(就業規則のみ別途オプション)。

開業までのスケジュール

1.労働条件の決定

事業計画を策定し、物件選定・内装工事へと入る段階で採用したい職種や人数については想定されているはずですが、募集開始の準備としてそれぞれの労働条件(仕事内容や勤務時間、賃金)を決定しておきましょう。

2.就業規則の作成

就業規則は院内で適用される規則です。パートを含めて常時10人以上の労働者を使用するクリニックには作成と届出の義務が発生します。

10人未満の場合作成義務はありませんが、就業規則がないと減給や解雇といった懲戒処分を行うことができないといった大きなデメリットがいくつか発生するので筆者としては貴院の利益を守るためにも作成をおすすめします。(長くなるので別記事にて改めて投稿させていただきます)
ただ、一度定めると労働者の不利益になる変更が非常に難しいため慎重に定めなければいけない点は重ねてお伝えしておきます。

3.スタッフ募集/選考

この部分は工程数も多いため別記事にて投稿しております。こちらをご覧ください。

4.勤怠システムの導入

ご自身が勤務時代に使っていたシステムがあればそれをそのまま使うのが最も良いでしょうが、そうでない場合に困ってしまうのがこちら。
ジョブカン、KING OF TIME、タッチオンタイム、HRMOS勤怠...その他多数。どの会社もうちが一番使われている、うちが一番評価されている、と様々なアピールをしますがどれが一番良いのかぱっと見わかりません。
弊所にご相談いただければ、ヒアリングを基に貴院のニーズにマッチするシステムを2~3件ほど紹介させていただきます。

5・スタッフ研修

クリニックの開業が近づいたらスタッフ研修を行うのが一般的です。
研修を充実させることで開業日以降の運営がスムーズになり患者さんからの評判につながるのはもちろんですが、それに加えてスタッフ側の不安がなくなりコミュニケーションが円滑になることで早期離職も防げるメリットがあります。

また、研修中も通常は賃金が発生します。
研修開始から賃金額は通常通りにするのか、雇用開始として労働保険、社会保険に加入させるかによりスケジュールや手続き内容も変わってきますので関係各者(社労士、税理士、開業コンサルタント等)の意見も聞いたうえで決めるとよいでしょう。
なお、こちらの記事では(研修出席が義務で研修内容も本来業務と関係があり、賃金も支給するため労働制ありと判断の上)研修初日からの雇用開始、保険加入としてスケジュールを設定しています。

6.就業規則/労使協定届出

定めた就業規則(10人未満は任意)と労使協定(実質義務)を労働基準監督署に届け出ます。
労使協定の届出を実質義務としたのは、労式協定の一つ「時間外労働、休日労働に関する労使協定(36協定)」を届け出ないとスタッフに法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超える部分の時間外労働(残業)をさせることができないからです。これでは開業後のクリニックの運営がままならないので必ず研修期間中に届け出ましょう。

7~8.労働保険/社会保険の新規適用

労働保険は労災保険と雇用保険の2つで、クリニックが1人でも雇用すると加入義務が発生します。
社会保険には健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つがあります。このうち健康保険について、スタッフ数が5人未満のクリニックにおいて医師国保にするか協会けんぽにするかは意見の分かれるところでしょう。金銭面で支出の少ない医師国保を採用するか、(事業主負担としてスタッフと折半する必要があるため)支出の多い代わりに出産手当金や傷病手当金の支給で優れている協会けんぽを福利厚生面から採用するか。迷われる場合は、料金シミュレーションもしながら判断しましょう。

まとめ

クリニック開業までのスケジュールを確認しましたがいかがでしょうか?
人に関わることなので想定外のことも起きやすく、それらにうまく対応するためにはこまめな連絡と余裕を持ったスケジューリングが必要不可欠です。
また、当然ながらスケジュールにも載せきれない細かい工程も存在します。
そういった部分にも抜けなく対応するため弊所ではチャットでのスケジュール共有とタスク追加、リマインダーなども活用して双方向のチェックができるようにしております。
まだ検討の段階でのご相談でも大歓迎ですので、お気軽にご相談ください。