給与支給日と締め日について考察する
月に一回訪れる給料の支払日。
スタッフにとってはありがたい日なのですが、経営者側からすると月でトップクラスに大きな額が出ていく日であり、頭を悩ませる日でもあるかもしれません。
給料の支給日と締め日については変更は難しいのでしっかり考えた上で定める必要があります。
本稿ではクリニックの支給日と締め日について私なりの考察をさせていただきます。
給与支給日はいつにする?
労働基準法第24条第2項によると「賃金(給料)は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。」とされています。
つまり、月に1回以上給料日をもうけなければいけないが、毎月同じ日(一定の期日)であれば自由に決めて良いとういうことです。
クリニックであれば支給日は毎月25日が安心でしょう。
支払基金や国保連からの診療報酬の受取日が20~22日あたりなことを考えると支払日はその後にしたい。となると一般企業を含め最も採用されている支給日である25日に落ち着きます。
締め日はどうする?
次に締め日(≒賃金計算期間)ですが、私は月末(賃金計算期間/毎月1日~月末まで)をおすすめしています。というのもそれ以外にする理由がスタッフへの福利厚生ぐらいしかないからです。
例えば、末締め翌月10日支給のクリニックも一定数ありますが、一部の資金繰りの苦しいスタッフからは喜ばれる反面、管理者側には下記のとおり不都合が生じます。
①資金繰りの問題
→上述のとおり
②経営分析がしにくい
→クリニックの経営分析をしようとするときに日毎・月毎の患者数、診療収入などの収益要素と、残業時間と人件費を始めとする支出要素を見比べることになりますが、賃金計算期間を月途中にしてしまうと分析にズレが生じてしまい効果が薄れます。
③日程的に厳しい
→2023年7月10日締め25日支給で考えてみます。
13日までに院長先生側でスタッフ全員の勤務時間を確定させ社労士等にデータを送る(4営業日)
19日までに社労士側からの照会に答えつつ給与データを完成させてもらう(3営業日)
21日までにメイン銀行に給与振込手続きをする(銀行によるが2~3営業日前の手続きが必要)
こんなところでしょうか。見た感じ、日程的に多少のゆとりがあり何も問題はなさそうに見えます。
ただ、長く続けるとこんなケースもでてきます。
「Aさんが3日連続の病休で確認が取れない」「大型連休でスケジュールがタイトに」「システム障害で2日間ログインできない」
もちろんこんな時は社労士側が柔軟に対応すべきところですが、末締め25日支給ならそもそも生じない問題です。
まとめ
上記の理由から、筆者としましてはクリニックは末締めの25日支給をおすすめしております。
末締めの25日支給の一応のデメリットとしては締め日から支給日まで勤務初日から2月近くのタイムラグが出てしまう点です。
多くのスタッフは気にしないものですが、一部資金繰りの苦しい方の職場評価に影響するかもしれません。
以上、筆者なりの意見を述べさせていただきました。少しでも参考になりますと幸いです。